デザイン

文章苦手でも大丈夫!AIと作る説得力ある提案資料術

最近、「AI」という言葉を耳にしない日はないですよね。企業での活用はもちろん、私たちの日常生活でもAIが使われる場面がどんどん増えてきました。まるでSF映画の世界が現実になったような感覚です。

AIが私たちの生活や仕事に取り入れられていることは、多くの人が感じていると思います。ですが、「AIが便利」という漠然としたイメージはあっても、「具体的にどんな時に、どうやって使えばいいんだろう?」と、その活用方法に頭を悩ませている方も少なくないのではないでしょうか?

この記事では、AIを活用してもっと効率的に仕事を進めたい、特に苦手な文章作成をAIに任せてみたいと思っている方に、私が実際にAIを活用した事例をご紹介します。

正直なところ、私もAIをまだ最大限に活用できているわけではありません。ですが、文章を書くことに苦手意識があり、この点をAIでどうにかできないかと考えていました。例えば、デザイナーとしてお客様への提案資料を作る際、メールや資料作成で文章をまとめるのにいつも苦戦します。どう表現すべきか分からず、例文や事例を読み漁って頭を抱えることも頻繁にあります。私と同じように職種に関わらず、「文章を書くのが苦手」「もっとスムーズに作成したい」と感じている方の参考になると嬉しいです。

デザイン提案の現場:ビジュアルとロジックの狭間で

私たちの仕事であるデザインは、まさしくビジュアルで物事を伝えることが主軸です。ロゴやWebサイトのデザインを提案する際も、言葉でつらつらと説明するよりも、図や写真、そして実際のデザインを大きく見せて、言語化では難しいニュアンスを視覚に訴えかけるように心がけています。

でも、どんなプロジェクトでも、その一番最初の段階、つまり「初動」においては、言葉の力がどうしても必要になってきます。お客様との認識を合わせたり、「このプロジェクトで何を達成したいのか?」という目的を明確にしたり、その目的を達成するために「何をしなければならないのか」という道筋を整理したり…。これらは、きちんと文章としてまとめることで、お互いの理解を深める大切なプロセスなんです。

さらに、お客様にこのプロジェクトを正式に契約していただくためには、社内での検討用資料として提出されることも少なくありません。そうした資料には、やはりロジックに基づいた分かりやすい文章が求められます。デザインの美しさだけでなく、「なぜこのデザインが必要なのか」「このデザインで何が解決できるのか」といった理由を、言葉で論理的に説明する必要があります。私自身、ビジュアルで伝えることには慣れている一方で、この文章作成に苦手意識があると、これらの資料作りはいつも頭を悩ませる種でした。でも、作らないわけにはいきません

AI(Gemini)との出会い:苦手な文章作成をサポートしてもらう

そんな中、私はある「相棒」と出会いました。それが、Googleが開発したAI、Geminiです。

文章作成の苦手意識をどうにかしたい。でも、人に頼むほどのことでもないし、そもそもどう頼んだらいいのかも分からない。そんなモヤモヤを抱えていた時に、「AIに文章作成を手伝ってもらう」というアイデアが頭をよぎったんです。以前からAIという存在は知っていましたが、具体的な使い道が分からず、どこか遠い存在だと感じていました。しかし、この文章作成という切実な悩みがあったからこそ、「よし、試してみよう!」と一歩踏み出すことができました。

結果として、Geminiは私の予想をはるかに超える「心強いパートナー」になってくれました。特に、今回の経験でその能力を実感することになります。

実際の活用例:お客様との認識のずれを解消した採用動画の提案

先日、とあるお客様から「採用向けの動画を作りたい」というご相談をいただきました。お客様の方でも熱心に採用動画を調べられていたようで、「こんな風にしたいんです」と、いくつかの参考動画も共有してくださいました。

いただいた参考動画は確かに素敵な作品ばかりでした。しかし、お客様のお話を詳しく伺っていくうちに、私の中である疑問が湧いてきました。「この参考動画の方向性で、お客様が本当に達成したい目的が叶えられるだろうか…?」と。正直なところ、目的と手段が少し逆になっているのではないか、と感じたのです。

お客様は「かっこいい動画」や「流行りの動画」をイメージされているようでしたが、本当に必要なのは「採用に繋がる動画」です。このままでは、せっかくの時間とコストをかけても、期待する成果が得られない可能性があります。

これをどうお客様に説明すれば良いか、私は非常に悩みました。「それは違いますよ」とストレートに伝えてしまうのは、お客様のこれまでの準備や熱意を否定してしまうことになりかねません。かと言って、あいまいな表現では真意が伝わらない。どうすればお客様の気分を害さずに、本当の目的を見据えた提案ができるのか…。

そこで、私は迷わずGeminiに相談することにしました。私がGeminiに伝えた内容は、箇条書きでシンプルにまとめました。

  • お客様からこんな依頼をもらった
  • ベンチマークの動画は◯◯◯◯(YouTubeのURL)
  • お話を聞いたうえで自分が考えていること(目的と手段が逆になっていると感じる点)
  • 資料の依頼(採用向け動画を撮影するにあたり、考えるポイントと撮影までのステップを体系立てて説明する資料をA4 1,2枚程度で作成したい)
  • 資料の内容に盛り込みたいポイント(具体的な課題感や提案したい方向性などを箇条書きで)

すると、Geminiは私が望んでいた以上の回答を返してくれたのです。

Geminiが導き出した「納得の構成」

Geminiが提案してくれたのは、まさに私が求めていたものでした。驚いたのは、ただ文章を羅列するだけでなく、資料のページ構成から見出し、さらには各項目で盛り込むべき内容まで、体系立てて分かりやすく提案してくれたことです。

私が感じていた「目的と手段のずれ」を、お客様を否定することなく、自然な形で「なぜ採用動画を作るのか」「そのために何を考えるべきか」という視点へと誘導する構成になっていたのです。例えば、動画制作の前に「ターゲット層の明確化」や「求める人材像の具体化」といった、一見遠回りに見えるけれど最も重要なステップを、論理的な流れで組み込んでくれました。

言いたいことは頭の中にまとまっているのに、それらをどういう順番で、どのような言葉で説明すればお客様に響くのか分からない。そんな時、AIはちゃんと文脈を整え、間に必要な情報を加えて、読み手がスムーズに理解できる文章にしてくれるんです。

このGeminiが作成してくれた原稿を基に資料をまとめ、お客様に提出したところ、非常に分かりやすいと好評をいただけたんです。「動画を作る前に、こんなに考えることがあるんですね」「改めて自社の方向性を一緒に検討したい」と、前向きな言葉をいただくことができ、プロジェクトの方向性を改めて見直すという、本来あるべき姿で進められることになりました。

AIが単に情報を提供するだけでなく、複雑な状況を整理し、相手に納得してもらうための「構成力」まで提供してくれることに、大きな可能性を感じた瞬間でした。まさに、私の心強いパートナーとして、コミュニケーションを円滑にする強力なツールになってくれたのです。

AI活用のコツ:プロンプトに囚われず、対話で引き出す

AIを活用すると聞くと、「プロンプト」と呼ばれる指示の出し方がとても重要だと思われがちです。もちろん、より的確な指示を出すことで、AIはより質の高い回答を返してくれます。でも、今回私の事例でお伝えしたように、必ずしも完璧なプロンプトを作成する必要はありません。

「お客様からこんな依頼をもらった」
「こんな参考動画があった」
「私が考えているのはこういうこと」

というように、話すような感覚で、箇条書きでもいいので、伝えたい情報を段階的にAIに与えてみてください。すると、AIはそれを基に、あなたにとって最適な回答を導き出してくれるはずです。まるで、優秀なアシスタントに相談しているような感覚です。

もちろん、AIが出してきた回答が、すべてあなたの意図に沿うとは限りません。そんな時は、「◯◯の部分をもう少し具体的にしてほしい」「この表現を別の言い方に変えてほしい」といったように、繰り返し指示を出すことで、どんどん理想の形に近づけていくことができます。AIは、あなたのフィードバックを学習し、改善していく柔軟性を持っているんです。

「AIって難しそう」「私には使いこなせないかも」と思っている方も、まずは気軽に試してみてください。きっと、あなたの仕事や日々のタスクにおいて、想像以上の助けになってくれるはずです。特に、私のように文章作成に苦手意識がある方にとって、AIは本当に心強い味方になってくれます。

最後に

AIは、私たちの仕事を効率化し、新たな可能性を広げてくれる強力なツールです。今回ご紹介した私の経験が、皆さんがAI活用の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。引き続き、AIを活用して実践したことはコラムとして発信していきたいと思います!

執筆・監修者

コラム一覧に戻る